このページでは江南健生堂の「アトピー性皮膚炎」に対する考え方や対処法ではなく、一般的な皮膚科医院で行われている「標準的な診療」についてお伝えします。
あなたが既に「アトピー性皮膚炎」で皮膚科に通っているのであれば、恐らく今から説明する考え方のもとで診断されて、治療を受けていると思います。
しかし、あなた自身はなぜこの治療法が必要なのか?この治療を受けることでどのように症状が変わっていくのか?など、あまり考えたことはないかもしれませんので、そのあたりのことをお伝えします。なるべく簡単な言葉で説明しますので、気軽にお読みください。
最新のガイドラインに基づく診断・治療
(2017年時点)全国の皮膚科・医院では2016年に日本皮膚科学会により発表された「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016」に基づき、診断・治療が行われています。
なので、基本的には全国どこの皮膚科・医院に行っても、同じ治療を受けることになります(ごく一部の医院では、独自の考え方に基づき、診療が行われています)。
アトピー性皮膚炎は多因子性疾患のため、発症の要因は一つではありません。
しかし、そんな中でもこれまでは「アトピー素因」と言われるアレルギー体質が最大の要因と考えられてきていました。
そのため、アレルギーの原因となる物質を避けながら、皮膚の炎症やかゆみを抑え、日常生活に大きな支障がない「寛解(かんかい)」(完全に治ったわけではなく、一時的に酷い症状を抑え、安定した状態)に導くことが、治療の目的・目標になっていました。
つまり、アレルギー体質を改善して、完治が目標ではないということです。
残念ながら現在の時点でもアレルギー体質自体を改善する方法はありません。
しかし、ここ最近、「アレルギー体質」よりも「皮膚のバリア機能の破綻」の方が「アトピー性皮膚炎」発症に影響が大きいと考えられるようになってきました。
「アトピー性皮膚炎」を研究している中で、皮膚のバリア機能を支える「フィラグリン」という皮膚細胞の不足が「アトピー性皮膚炎」発症に大きく関わっていることが分ったのです。
その結果、これまでのアレルギー体質だけでは説明のつかなかった症例も説明がつくようになりました。
*「フィラグリン」については「肌のバリア機能の主役・フィラグリンとは?」をご覧ください。
アトピー性皮膚炎の定義
- かゆみがあること。
- 特徴的な湿疹があること。
- 症状が現れたり、消えたりが慢性的に繰り返しいること。
となっています。上記3点が該当すると「アトピー性皮膚炎」と診断されます。
しかし、似た症状を示す皮膚炎はアトピー以外にも「かぶれ」「あせも」「脂漏性皮膚炎」などもあり、治療法も異なりますので、しっかりとした鑑別が必要になります。
診断を正確なものにするためや改善度合いを把握するための検査
1、血液検査
TARC(ターク)検査・・・炎症反応の度合いを把握。見た目ではわからない炎症も判明。
総IgE検査・・・アレルギー反応全体的な強さを観る。アレルギー体質と関連する指標。
特異的IgE検査・・・個別アレルゲンの解明とその程度を観る。
好酸球検査・・・アトピーなどの炎症反応で増える白血球成分のひとつ
2、スクラッチテスト
針で皮膚を少し引っ掻き、そこに原因となりうる物質をつけて炎症反応が出るかを観る。
3、パッチテスト
原因となりうる物質を皮膚に貼り付けて、炎症反応が出るかを観る。
4、食物除去&負荷試験
原因となりうる食物を一定期間摂取せず、症状の変化を観る。その後、少量ずつ摂取して症状が悪化するかを観る。*アナフィラキシーショックなどの危険もありうるので、専門医の管理下で試験を行うこと。
標準的な治療法
1、皮膚のバリア機能を守る
①保湿
肌の乾燥を防ぎ、アレルゲンや雑菌などの侵入を防ぐために保湿剤をたっぷり塗る。
②スキンケア
肌の清潔を保つ。入浴、シャワー、手洗いなどをこまめにする。
2、炎症反応を抑える
①ステロイド外用薬
・抗炎症薬。塗る部位や症状の程度により、薬の強度(ランク)を使い分ける。
・最近はプロアクティブ療法と言って、最初からしっかり炎症を抑え込める強いランクの薬を使用して、症状の改善具合をみて、徐々に弱いランクの薬に移行する方法が主流(以前は弱いランクの薬から使用して、効果が出ない場合はひとつ上のランクの薬を使用)。
*副作用
・皮膚の感染症リスク上昇。
・長期使用により皮膚の萎縮・多毛・血管拡張など
②タクロリムス外用薬(製品名「プロトピック」)
・非ステロイドの免疫抑制剤。
・ステロイドで効果が出ない場合やステロイドの副作用(皮膚の萎縮・多毛・血管拡張) を避けるために使用されることが多くなってきた。
*副作用
・使用初期にピリピリする痛みが出ることがある。使っていくうちにピリピリする痛みは消えていく。
・皮膚の感染症リスク上昇。
・紫外線を避ける必要がある。動物実験では長期使用で「リンパ腫」発症。
③ステロイド剤(内服)
ステロイド外用薬(塗り薬)を使用しても効果が薄い場合は、より強力な内服薬(飲み薬)を使用します。効果は塗り薬に比べ、はるかに大きいが、反面、副作用も大きいので、使用時は医師の指示をしっかり守り、ごく短期間の使用が望ましい。
*副作用
・感染症、白内障、骨折、糖尿病、肥満、胃潰瘍、精神障害など
④シクロスポリン(内服)
・免疫抑制剤。
・効果は高いが、ステロイドの内服薬同様、副作用も大きいので、使用時は医師の指示をしっかり守り、ごく短期間の使用が望ましい。
*副作用
・感染症。腎臓に負担大。
⑤紫外線療法
・紫外線には「殺菌」「免疫抑制」「抗炎症」の作用があるので、紫外線を照射することで特に重症患者のかゆみに効果アリ。ただ、安全な紫外線量を見極めるために治療初期は入院が必要。その後、通院治療。
・タクロリムス(プロトピック)を使用している患者には使えない。
⑥抗ヒスタミン薬(内服)
・かゆみを抑える。
*副作用
・製品によっては眠気。
⑦抗アレルギー薬(内服)
・体内での過剰な免疫反応を抑える。
*副作用
・感染症リスク上昇。
3、アレルゲンなどの悪化因子の特定・除去。
最近は「皮膚のバリア機能」を守ることの方が大事とされており、アレルゲンなどの関わりはそれほど重視されなくなっています。
とは言え、原因としてハッキリしているアレルゲンであれば、対策を取ることで症状は和らぎます。
以上、3点が現在の標準的な治療法になります。
ポイントとしては、標準的な治療法とは言え、
根治療法ではなく、対症療法に過ぎないということです。
つまり、現在のアトピー性皮膚炎治療は「完治」ではなく、「寛解」がゴールです。
しかし、あなたが「完治」を目指すのであれば、今後の医療の発展に期待するか?
もしくは、当店の整体を受けて、あなた自身の身体に備わる「自然治癒力」を本来の状態に戻すかのどちらかになります。
お電話ありがとうございます、
整体院 江南健生堂でございます。